
スポーツ整形
スポーツ整形
スポーツによる運動器のトラブルは、「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」に分けられます。スポーツ外傷は、転倒や接触などの衝撃による捻挫・脱臼・骨折などの急なケガです。一方、スポーツ障害は、繰り返しの負荷(オーバーユース)による慢性的な痛みや動かしにくさが特徴です。両者では治療やリハビリの方法が異なるため、適切な対応が重要です。
競技やポジションによって痛めやすい部分があり、故障が起こるシチュエーションもさまざまです。そのため、当院では競技特性もしっかり考慮した上で最適な治療を行っています。下記のような症状が競技別でよく見られる外傷、障害です。
アスリートの早期復帰には、筋力や柔軟性を維持しながら無理のないリハビリが重要です。オーバーユースによる障害も多いため、違和感や軽い痛みを感じたらお早めにご相談ください。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、手首を動かす筋肉に負担がかかり、炎症や痛みが生じる疾患です。テニスのバックハンド動作やゴルフのスイングなどが原因となることが多く、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)も類似の症状を示します。タオルを絞る、ドアノブを回す動作で痛みが現れるのが特徴です。治療は安静、消炎鎮痛剤、装具療法(バンドなど)を用いた保存療法が基本です。
野球肘は、投球動作の繰り返しで肘に負荷がかかり、靭帯や軟骨、筋肉などが損傷する障害の総称です。痛みの部位により内側型(靭帯や腱の損傷)、外側型(骨・軟骨の剥離や炎症)、後方型(疲労骨折や骨棘形成)の3種類に分類されます。治療は投球の一時休止と安静が基本で、痛みが軽減したらリハビリを行い、競技復帰や再発予防を目指します。
投球動作の繰り返しによって肩関節に負担がかかり、骨や軟骨、筋肉、腱が損傷する障害です。野球以外のスポーツ(テニス・バレーなど)でも発症します。ジュニア期には「リトルリーグショルダー」と呼ばれる成長軟骨の損傷が見られます。痛みは投球時に現れ、安静時にはほとんどありません。治療の基本は肩への負担を軽減し、炎症を抑えることで、アイシングや温熱療法、消炎鎮痛剤を使用することもあります。リハビリでは肩の可動域を広げ、インナーマッスルや肩甲骨周りの筋肉を鍛え、投球フォームの見直しを行います。十分なウォーミングアップ・クールダウン、適切な筋力トレーニング、投球数の管理が重要です。早期治療を行えば回復が見込めますが、無理に投球を続けると重症化し、手術が必要になることもあります。違和感を感じたら早めに専門医へ相談しましょう。
膝の使いすぎによるスポーツ障害で、ジャンプやダッシュを繰り返す競技(バレーボール・バスケットボール・サッカー・陸上競技など)で発症しやすく、特に10~30代に多く見られます。膝前面に痛みが生じ、進行すると慢性化することもあります。膝蓋腱に負担が蓄積し、大腿四頭筋の柔軟性が低下することで炎症が起こります。安静・休養が基本で、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤や冷湿布を使用します。大腿四頭筋のストレッチも重要です。悪化すると腱が損傷し、スポーツができなくなることもあるため、早期治療が大切です。
成長期(10~15歳)のスポーツをする子どもに多く、特にサッカー・バスケットボール・バレーボールなどで発症しやすい疾患です。膝のお皿の下(脛骨結節)が突出し、痛みや腫れが生じます。休めば痛みは和らぎますが、運動で再発しやすいのが特徴です。成長が終われば自然に治ることが多いですが、悪化を防ぐために大腿四頭筋のストレッチやアイスマッサージを行い、痛みが強い場合は湿布や内服薬を使用します。スポーツ前後のストレッチやアイスマッサージ、ベルト装着で負担を軽減しながら運動を続けることが可能です。
当院では、スポーツの特性やポジションを考慮し、整形外科専門医による診療と理学療法士による運動療法プログラムを組み合わせた総合的な治療を行っています。スポーツ特有のケガに対し、専門的なアプローチで早期回復をサポートします。
しっかりとした診断が行えるよう、診療の際に下記の点について詳しくお聞きすることがあります。
軽い痛みや違和感がある初期の段階で適切な治療を受けることで、短期間で治すことができます。無理をすると大きな故障につながってしまう可能性が高まり、治るまでの時間が長くなります。また、かばうことで他の部分にも故障が広がることや、再発しやすくなるリスクもでてきます。治療中の筋力・柔軟性強化にも配慮し、無理のない運動療法プログラムを提供していますので、早めにご相談ください。
一般的なトレーニングでは鍛えにくい筋肉をバランスよく強化し、柔軟性を高めることで関節の可動域を向上させます。適切な指導を受けることで、特定の筋肉や関節に過度な負荷がかかるのを防ぐことができます。
運動をする前に、ストレッチや軽い動きを取り入れ、関節や筋肉の柔軟性を高めることでケガを予防します。
正しいフォームを身につけることで、筋肉や関節などに余計な負荷をかけず、安全に運動を続けることができます。
運動中はもちろん、運動前後の水分補給もとても重要です。のどが渇く前にこまめな水分補給をして、集中力の低下やパフォーマンスの低下を防ぎましょう。
過度なトレーニングは故障の原因になり、逆効果です。痛みや張りを感じた時、力が思うように入らなくなってきた時は、小休止を入れましょう。
運動後の適切なクールダウンを行うことで、疲労の蓄積や筋肉・関節への負担を軽減し、回復を促します。